Case Study

マルチ・コンフォート・ハウス東久留米(東京)

世界的にもっとも厳しいパッシブハウス基準の断熱・気密性能を兼ね備えた「マルチ・コンフォート・ハウス」。真冬の朝、暖房をしなくても室内は20℃近い暖かさ。心地よい大きな箱が家族をしっかりと包んでいます。

 

仕様構成図・各仕様データ

 

建物データ

所在地 東京都東久留米市(断熱地域区分:6地域)
構造仕様 木造在来軸組工法
建築面積 60.93m2(18.40坪)
敷地面積 159.32m2(48.19坪)
延床面積 111.19m2(33.69坪)
1階:59.07m2
2階:52.12m2
竣工 2012年1月
工事期間 2011年7月-2012年1月
施工 夢・建築工房
建築物理監修 キーアーキテクツ
断熱監修 マグ・イゾベール
ドイツパッシブハウス研究所認定証
ドイツ・パッシブハウス研究所(PHI)認定物件【Project ID:2483】

 

性能データ

1次エネルギー消費量(年間) 96kWh/m2
※暖冷房、除湿、給湯、換気、照明および家電を含む
暖房負荷(年間) 12kWh/m2
(最低室温20℃)
冷房負荷(年間) 15kWh/m2
(最高室温25℃)
熱損失係数(Q値) 1.1W/m2・K(<2.7[省エネ対策等級4])
外皮平均熱貫流率(UA値) 0.38W/m2・K
相当隙間面積(C値) 0.22cm2/m2

 

断熱仕様

 屋根

高性能16Kグラスウール120mmx2層+90mm =計330mm

熱抵抗値(R値):8.7m2・K/W(>4.6[省エネ対策等級4])
熱貫流率(U値):0.14W/m2・K

 壁

充填断熱:高性能16Kグラスウール120mm
外付加断熱:32Kグラスウール80mm

熱抵抗値(R値):5.4m2・K/W(>2.2[省エネ対策等級4])
熱貫流率(U値):0.22W/m2・K

 防湿・気密

防湿気密シート:可変透湿気密シート

気密テープ:防湿気密テープ

 開口部

木製窓:3層ガラス
熱貫流率(U値):1.5W/m2・K

木製断熱玄関ドア
熱貫流率(U値):0.7W/m2・K

 換気システム

第1種熱交換型換気

顕熱交換効率91%(全熱交換タイプ)

 基礎

立上:EPS100mm(防蟻タイプ)
熱抵抗値(R値):2.9m2・K/W

土間下:XP50mm(防蟻タイプ)
熱抵抗値(R値):1.8m2・K/W

 

設計・施工者より

岸野浩太氏(株)夢・建築工房

株式会社 夢・建築工房 代表取締役 岸野浩太氏
 

今回の家作りには、3つのポイントがありました。

まず1つ目は、お施主様の意向もあり「できるだけエネルギーを使わない住まい」ということ。2つ目は、エネルギーを使わないで「どう快適性を保てるようにするか」ということ。3つ目は、「経済的な観点からも価値のあるものにする」ということです。

これらの3要素をバランスよく実現する上でまず基本としたことは、家自体の性能をできるだけ高めるということでした。

つまり、太陽光、自然の風、蓄熱といった自然の現象をうまく取入れることを念頭に置きながら、躯体の断熱性能を可能な限り高め、冬は熱が逃げにくく夏は熱が入りにくい構造にすることでした。
この基本が非常に大切で、エネルギーを使わないことと、快適性をもたらしてくれます。

 

施工はできるかぎり身近なもので


工務店としてのこだわりは、特殊なものに頼ることなく、できるかぎりできるだけ身近なもので実現することでした。

一般的な構造は木造在来軸組み工法、断熱材は高性能グラスウールを基本とし、窓は熱的には非常に重要であるので性能の良い木製3層ガラス窓、熱の損失を抑えながらも新鮮な空気を保つことができる第一種熱交換型換気システムを採用しています。

素材としてのこだわりは、気密・防湿シートとして使用している「ザバーンBF」で、湿気を通す能力が表面の湿度状況により変化するために、結果として壁内の湿度を適切に保つことができ、構造体である木材の長寿命化には欠かせません。

あとは、必要最低限の再生可能エネルギーの設備(太陽光発電、太陽熱温水)を備えることで、月々のランニングコストを減らすだけでなく収益を生むレベルにまでに落とし込むことで、お施主様へ経済的なメリットを感じてもらうことです。

このマルチ・コンフォート・ハウスでは、これらの3つのポイントがバランスよく実現できたと自負しています。

 

マルチ・コンフォート・ハウス東京エントランス

 

夢・建築工房ロゴマーク

〒355-0062 埼玉県東松山市西本宿1847
Tel:0120-14-1118
設立年月 平成7年11月
事業内容 注文建築、リフォーム、増改築、各種修理、営繕工事、設計・施工管理
https://yumekenchiku.co.jp/

 

 

お施主様の声


実際の住み心地や感じたことなど、お施主様の声をご紹介します。

 

当初はあまりの高断熱に躊躇


当初、マルチ・コンフォート・ハウスのレベルはあまりに断熱性能が高いので、日本、しかも東京でそこまでの性能が必要なのかと思いました。壁も厚くなるし、サッシも木製の枠で三層ガラスという、日本ではあまり見られないものでしたので。

しかし、エアコンなどの機器に頼ることなくエネルギー使用量を減らせるなら、「中途半端ではなく、徹底的に」という私たちのスタイルを貫き、今の家が実現しました。

 

東京マルチ・コンフォート・ハウス ユーザー様

 

建ててみて実感冬暖かく、夏涼しい家特に冬の暖かい朝にビックリ!


以前は鉄筋コンクリートのマンション住まいでいつも寒い思いをしましたが、今では冬の暖かさに驚かされています。真冬の朝でも暖房を入れていないのに20℃近くあり、一番寒い朝でも18℃でした。
朝、布団からさっと出られる、こんな楽な朝があるのかと思いました。

また、少し人が来たりするだけで、人が発する熱で部屋が暖かくなります。暖冷房機器に頼ることなく、建物の工夫によって冬暖かく、夏涼しいというのが本来の家の在り方だと思います。

そういう意味では、この家は理想的だと思います。

 

マルチ・コンフォート・ハウス東京 リビングダイニング

 

以前と年間30万円近い光熱費の差


光熱費についても驚いています。以前のマンション時代は冬寒く夏暑い環境であったため、暖冷房費がかさみ年間で15万円以上の電気代がかかり、ガス代も含めると光熱費としては20万円以上の支出でした。

しかし、この家では、最小限の太陽光発電(4.6kW)と太陽熱温水(4㎡)を載せただけで、電気の買電収入もあり年間で7万円以上の収入がある状態でびっくりしました。

以前の生活と比較すると年間で30万円近い差があり、家計的にもとても助かっています。以前は毎月、毎年高い光熱費を支払わなければいけない生活でしたが、今では何もしなくても収入がある状態で、電気代の値上げや消費税による物価上昇がさけばれる中、安心して生活できています。

また、エネルギーをできるだけ使わないことで地球環境にも貢献している感じがして、よりいっそう自分の家に自信が持てます。

 

マルチ・コンフォート・ハウス東京 ダイニング

 

マルチ・コンフォート・ハウス東京 練馬区気象データ

 

マルチ・コンフォート・ハウス東京 室内温度分布

 

マルチ・コンフォート・ハウス東京 光熱費