マルチ・コンフォート・ハウスおよびパッシブハウスでは、以下の気密性能が求められています。
- 気密性能として50Paの加圧時・減圧時の漏気回数が0.6回以下であること(相当隙間面積C値で、0.2~0.3cm2/m2程度)
気密の利点
気密性の高い家とは、壁や天井、床などの接合部分の隙間を極力少なくすることで、室内の暖かい空気が外に逃げず、外気の侵入が遮断された状態になっています。
室内の空気が隙間から逃げないため冷暖房の効きがよくなり、少ない冷暖房エネルギーで快適な室内温度を保つことが可能になります。


冷暖房エネルギーの損失が少ない
熱交換システムとは、排気の冷たさや暖かさを、室内の温度に近づけてから室内に送り込むシステムです。
熱交換換気システムで計画的に換気を行い、常に快適な室内温度を保つには気密性が鍵を握ります。
異なる気密性能の住宅で冷暖房負荷を比較すると、熱損失が最大20kWh/m2aもの違いが生じるほどです。
マルチ・コンフォート・ハウスの年間冷暖房負荷が15kWh/m2aであることを考えると、その差は歴然です。
少エネルギーで効率よく空調ができるということは、住宅のエネルギー効率の向上という点において、今後益々重要になっていくでしょう。

適温空間の創出
「適温空間」とは、気温に合わせて寒さや暑さから住む人を守るという住空間における従来の考え方ではなく、年間を通じて住む人の誰もが心地よいと感じられる空間のこと。今日の住まいづくりにおけるスタンダードだと言えます。
適温空間においては、年間を通じた新鮮な空気の供給と、快適な温度と適度な気流を保つための住宅設計が不可欠です。
適切な断熱施工はもちろん、隙間風のような制御できない空気を遮断する気密性が必要になります。
そうした厳しい条件をクリアした省エネルギー住宅がマルチ・コンフォート・ハウスです。

建物の保護
建物の劣化の原因として、気密・防湿不足による、空気の流出があります。
気密性の低い住宅では、室内の暖かい空気が漏れて外気に触れることで結露が発生します。
また外気の湿気も隙間から建物内に侵入し、壁内で液化して結露が発生します。
結露が発生した場所はカビや細菌の理想的な温床になります。カビや菌は構造材を破壊し、断熱性能を下げ、更なる湿気を招きます。
この連鎖反応が建物の耐久性に大きな影響を与えます。
建物の寿命を延ばすためには、高い気密性能が欠かせません。
健康的な暮らし
健康を害し、アレルギー症状の原因となる様々な物質(花粉・黄砂・PM2.5など)は外気により室内に運ばれてきます。
しかし、ただ気密化しただけでは、密閉された空間で人の呼気による二酸化炭素(CO2)の濃度が上昇するだけでなく、室内で発生するほこりや水蒸気も排出できなくなってしまいます。
アレルギー症状の原因となる物質の侵入を防いで、新鮮な空気を室内に循環させるためには、高いレベルの気密とコントロールされた換気が必要なのです。